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吹部コントラバスの指板が外れてしまった時の直し方(裏ワザ編)

投稿日:2020-09-16 更新日:

中学・高校の吹奏楽部にあるコントラバスは30~40年前のSUZUKIの楽器が多いです。まだ学校に子どもたちが溢れていた時代ですから吹奏楽部も大編成で、コントラバスが3・4人いることも珍しくなかったのでしょう。そんな時代に購入されたコントラバス、グレードは20~30万くらいの合板楽器がほとんど。年数から言って寿命です。あちこち壊れているのが普通。

そんな年代もののコントラバスのトラブルでよく見かけるものが指板の外れです。

指板が外れていると、ほとんどもう望みが無いように見えますが、実はネック折れやボディが割れているような破損に比べると直しやすいです。

もちろん本来は楽器屋さんに修理していただくのが基本中の基本。ただ、コントラバスの修理に充てられる部費があるケースは稀なのが現実。「修理にお金がかかるならコントラバスは外そう」となってしまいます。それならば、多少乱暴でも直してみるのが得策です。

指板

指板とは弦楽器の弦を押さえる支えとなる板のことです。普通は黒檀が使われますが、現在は黒檀の輸出入に規制が掛かっており入手が難しく高価になっています。ですから安価の楽器には白木を黒の塗料で染めていることがほとんどです。吹奏楽部のコントラバスで黒檀が使われている楽器はほとんど無いと思います。

この指板はネックに接着されているのですが、数十年の時間の中で段々接着が剥がれてきたり、完全に外れてしまうこともあります。

コントラバスは弦が太いので大変な張力がかかり、駒に掛かる重さは100キロ近くになると言われます。ネックにも強い力が加わりますので、素人にはその辺りの修理は不可能です。応急処置をしても直ぐにまた壊れてます。

ただ指板は特別強い圧が掛かる場所ではないので、ホームセンター等で普通に手に入る接着剤の中で強度のあるものを利用すれば十分に使用に耐える状態に戻すことができます。

手順をお伝えします。ただしあくまでも楽器屋さんに修理に出せない部活楽器のための非常手段であることをご承知おきください。

指板接着の手順

①古い接着剤を落とす

接着する際に、古い接着剤が残っていると接着強度が弱まります。サンドペーパー等で丁寧に落とし、凹凸を無くして接着剤が均等に塗れるよう下処理します。接着強度に影響する作業なので面倒くさがらず丁寧に準備してください。

②接着剤をつける

指板の一部分の接着だけが外れてきてしまっている場合、液状の瞬間接着剤をしみこませるのは一つの方法ですが、再接着の場合まんべんなく接着剤を塗りつけるのにかなり時間が掛かります。ですから瞬間接着剤は使わないでください。硬化時間の長い強力接着剤を使います。

特別なものである必要はありませんが、私はこの接着剤で作業します。硬化時間が長いので慌てずにきっちり作業ができて、しっかりくつきます。

③固定

一番重要な作業と言えるかもしれません。

↑の写真は接着が終わった状態ですが、ビッタリ密着している場所と若干隙間が開いている箇所があります。このままですと、接着にムラができてしまい新たな剥がれの原因になります。

ですから、接着剤で接着した後に、一晩指板全体に均等に圧力をかけたまま固定する必要があります。通常工房ではコントラバス用の巨大なハタガネを使いますが、普通の人は持っていません。手許にある道具を利用するしかありません。

私は技術科の先生にお願いして、学校の大きめのハタガネを貸していただきました。コントラバス用ではないので苦心しましたが、写真の通り何とか固定することができました。

↓のようなハタガネが4本あると全体に圧力をかけられるので最高ですが、そう何度も使うものでもないので買うのはもったいかもしれません。何かあるもので済ませられると良いですが、しかしこの工程はとても重要です。

繰り返しになりますが全体に圧力をかけられないと一部分が浮き上がってしまい、そこからまた新たな剥がれが生じる原因になります。

完成

これで見事完成です。素人の仕事ですが、写真のようにピッタリと接着することができました。今、生徒さんが使っていますが問題なく演奏することができていて強度も問題ありません。

素人が楽器をいじることは決して褒められたことではありませんが、色々と制約のある部活のコントラバスですから、何とか有効に活用できたら良いですね。それぞれの自己責任でやっていただくことですが、参考になれば幸いです。

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