「子どもの習い事にヴァイオリンを」と考えながらちゅうちょする方がたくさんいます。一番大きな要因はやはりお金がたくさんかかること。特に体の成長に合わせて買い替えなければいけないヴァイオリン特有の分数楽器の準備。色々な条件の違いによって値段の違いが大きいので実態が分かり辛く、それがますますヴァイオリンの敷居を高くします。
というわけで、我が家が子どものために準備したバイオリンを参考にしながら、お勧めの楽器や購入の具体的なアドバイスをそれぞれの分数ごとにまとめていきます。⇒分数ヴァイオリン購入記録(はじめの一歩)
この記事を読むと、それぞれの分数楽器の特徴に合わせた購入の目安。そしておススメ楽器も知ることができます。
今回は最初の分数ヴァイオリン、1/16サイズの紹介です。
分数バイオリン購入記録(1/16サイズ)
1/16サイズの身長の基準は105cmくらいまでのお子さんです。と言っても身長は目安。ヴァイオリンのサイズは身長では無くて腕の長さに関係します。また同じ身長、腕の長さでも、がっちりしたお子さんときゃしゃなお子さんでは違いがあり、楽器を構えてみないと分からないところがありますが、3・4歳のお子さんは十中八九このサイズでスタートです。
5歳児の平均身長が106cmなので、5歳くらいまでのお子さんは1/16サイズを使うことになります。
1/16サイズ、家はおもちゃ感覚でした
私の子どもは4歳でヴァイオリンをはじめました。続くかどうか半信半疑だったので、最初の一年はヴァイオリン弾きの妻が遊び半分で教えていました。楽器もおもちゃ感覚で渡しました。
実際のところ、この段階で直ぐにヴァイオリンを投げ出してしまう子どもさんが多くいます。じっとしていることすら難しい3・4歳の子どもが先生や親の言うことを聞いて楽譜を見ながら弓で弦を弾き、弦を指で押さえるという動作は容易ではありません。
直ぐに止めてしまう可能性があるものに大金を出す余裕は無いので、我が家は本当におもちゃ感覚で新品で10,000円くらいのヴァイオリンを買いました。購入した手段はネットです。
1/16ヴァイオリンのレポート
安価な楽器をしかもネット購入と聞いて、その道の方からはお叱りを受けそうです。
私自身、はじめての分数楽器購入でどんなものがくるのか想像がつきませんでした。とりあえずオモチャ感覚で持たせてみて、子どもが関心を示すようならその時にまた考えれば良いくらいに考えていました。
けれども手元にヴァイオリンが届いてみると何か決定的の問題がある箇所は見当たりませんでした。楽器屋さんでの調整は必要ですが音も普通に出ます。
後日値段の高いこのサイズの楽器に触れる機会がありました。違いがあるといえばありますが、それにしてもこの大きさ。本当に小さいです。高価であってもヴァイオリンらしい音色とは程遠いもの。価格に見合った個体差があるかといえば、そうは思いませんでした。
購入してみて、4歳の子どもが使うのにこれで十分という結論です。
私が購入した1/16サイズのヴァイオリン
我が家が購入したのはSTENTORというイギリスの楽器会社で、製造・組み立てを中国でやることで値段を安く抑えています。安い割に要所は抑えた楽器作りをしているメーカーで、世界中で販売されています。
私が購入した時とラインナップが少し変わっていますが、いずれにしても楽器ケース付きでこの値段は普通は安すぎて手を出すのが怖いレベル。普通楽器ケースだけで安くても1万円くらいはしますので…。
楽器は大きくなるにつれ個体差がはっきり出てきますが、このサイズなら十分です。家が買ったのと同じくらいのグレード。一番安いタイプです。
もう一つ上のグレードがこちら。
2つの違いは指板の材質です。安いほうは白木に黒い塗料を塗っています。指で弦を押さえている時に段々指板が削れてきて、そうすると下から白木が出てきます。値段の高いほうは黒檀(エボニー)が使われているのでそういうことが起こりません。
1/8サイズくらいからは黒檀のものを購入しないと確実に傷だらけになって大変です。ただこの段階では、多くの子は指板が削れるほどしっかり抑える筋力は無いです。一年くらいの使用ですから安いほうでも良いのかもしれませんし、弦楽器の指板は黒檀を使うというのがスタンダードなのでこちらが正式とも言えます。
注意点としてこういう安価な楽器の中古品は避けるのが賢明。この値段なのでお世辞にも作りがしっかりしているとは言えません。せいぜい2年程度の使用を前提にした買い物です。
中古品はどこかしらすでに問題が出ている可能性が高く、修理に新品で買う以上の値段がかかるという弦楽器に良くあるパターンが危惧されます。
楽器の調整は必ず必要です
大事なことは弦楽器専門店でちゃんと調整してもらうこと。ネットで購入した場合、調整されていないことが普通ですからそのままでは使えません。ですから、専門の職人さんに駒や魂柱を正しい場所に立ててもらい、ペグの調整もしてもらったほうが良いでしょう。
個人の職人さんがやっている工房を突然訪ねるのは勇気がいりますので、クロサワバイオリンさんとか島村楽器さんとか大手の楽器屋さんに行くのが良いかもしれません。「調整お願いします」と言ったらちゃんと必要な作業をしていただけます。
駒の調整が出来ていなくて弦高が高ければ腕を痛める原因になりますし、駒の角度が悪くて正しい奏法で弾いても音が出ず間違った弾き方の癖がついてしまうことがあります。まず調整、これはとても大切なことです。
新品購入してペグなどが上手く動かず「不具合がある。不良品だ」と怒る人がいますが、弦楽器の場合はそれが普通。逆にその必要が無い楽器は「調整済み」と書いてあります。職人さんに調整してもらってようやく使用できる状態になるのがヴァイオリンです。
まとめ
構造的に問題の無い楽器を、職人さんに調整してもらえばこういうグレードのもので1/16の段階では十分通用するというのが私の結論です。
というわけで、安価でしたが子どもがヴァイオリンに親しむ最初の機会を与えてくれた思いで深い1/16サイズのヴァイオリンの紹介でした。