日産自動車前社長のカルロス・ゴーンさんがレバノンに逃亡したニュースが連日報道されています。保釈中の身での国外脱出に批判が高まっていますが、事の善悪とは別に「そんなことが可能なの?」という驚きと「いったいどうやって?」と多くの方が関心をもたれたでしょう。
そんな中で割りと早い段階で、ゴーンさんが自宅でのクリスマスパーティーに音楽隊を呼び、楽器ケースの中に忍び込んで逃亡したらしいという報道がなされました。
人が入れるほどの楽器ケースと言えば…、そう「コントラバス」しか考えられないのです。というわけで、時事ネタを扱うブログではありませんが、コントラバスケースが大事件の重要な役割を負ったらしいということで、弦楽器ブログの出番。
今回はゴーンさんがコントラバスのケースに隠れて日本を脱出したのではないかという節を検証していきます。
想定される脱出劇の経緯
共同通信はゴーン氏の友人の証言としてこのように報道しています。以下引用。
「長年の友人イマド・アジャミ氏は1日、共同通信の電話取材に対し、楽器箱の中に隠れてジェット機に持ち込んでもらい、日本を離れたとの見方を示した。アジャミ氏によると、保釈中のゴーン被告は音楽隊を呼んでクリスマスのホームパーティーを開催。
自ら音楽隊の楽器箱に入ってカメラの監視をかいくぐり、協力者に住宅から運び出してもらい、待機していたトラックで移動したという。」
やはり楽器ケースに隠れたという情報はかなり信憑性が高いようです。
では楽器箱とは何の楽器かという問題ですが、今回のゴーンさんの件について発信を続けているホリエモンさんが元旦のご自身のyoutubeチャンネルの中で以下のように発言しています。
「どうやらプライベートジェットに、楽器のでっかい、コントラバスでしょうか、チェロでしょうか、滅茶苦茶でかい楽器のケースに隠れて・・・」
情報通のホリエモンまでが楽器ケース説に言及しているので、間違いないのではないでしょうか。
現実的にチェロケースに人が入るのはサイズ的に不可能です。ほかに考えられる大きな楽器ケースといえばティンパニですが、ホームパーティーの演奏にティンパニが加わることは考えづらいです。そうすると人が入れる楽器ケースはコントラバスケース以外には考えられません。
どうやら、コントラバスケースに隠れたというのはほぼ確実のようです。
コントラバスケースとはどんなもの?
コントラバスは2メートル近い高さがあり、重さも10キロほどあるので持ち運びが大変な楽器です。ですから、その他の弦楽器は硬いハードケースと呼ばれるものに入れて持ち運ぶのですが、コントラバスは上の写真のような防水布製のカバーにクッションが入ったソフトケースと呼ばれるものに入れられます。
これでは強い衝撃には耐えられないのですが、持ち運ぶ重さとしてはこれが限界です。持ち主が運ぶならソフトケースで大丈夫なのですが、例えば海外に運ぶ際や遠方に輸送するとなって楽器に誰も付き添うことができないシチュエーションではやはりデリケートな弦楽器。ソフトケースでは無理です。
そこで写真のようなコントラバスのハードケースという、小さな宇宙船にも似たドデカイケースに入れられるのです。今回ゴーンさんが入ったのは、この大輸送時に使うハードケースだろうと考えられます。
脱出手順
自宅でコントラバスケースの中に隠れ、カメラの監視の目をくぐれぬけまずは自宅を脱出。その後、関西国際空港に向かったようです。最新の情報では新幹線やタクシーを乗り継いだようです。そして再びコントラバスのケースに入り込んで、荷物ごとプライベートジェットに積み込まれたのでしょう。
このときに幾つかの説があるようですが、とにかく荷物検査を免れてプライベートジェットの荷物庫に運び込まれ、離陸後に荷物庫に協力者が入っていってゴーンさんをケースから出し荷物庫から機内に移動させ、経由地イスタンブールに向かったようです。
2メートルのコントラバスを入れるハードケースですから本当に巨大。それゆえX線の検査機に入らなかったという人もいますし、荷物検査が極めて緩い国内移動のプライベートジェットとして荷物を運び込み、そのまま海外に飛んでいったと考える人もいます。
ケースに空気穴を仕込み、飛行機の荷物庫から機内に移動できるような準備もされ、用意周到な脱出劇だったことが分かります。
まとめ
以上、カルロス・ゴーンさんがヨルダンに向けて脱出をしたニュースにおいて考えられる最有力のシュミレーションとして、コントラバスハードケースに忍び込んだ説を紹介しました。
普段、コントラバス奏者もハードケースを見ることはほとんどありません。楽器屋さんに置いてあるのを見るくらいで、ソフトケースに入れて使用するのが通常。
ですからその道に詳しい人であれば、ゴーンさんの家に音楽隊が出入りした際にハードケースで持ち運んでいる様子を見たらピンときたと思います。
そうは言っても、一般的にコントラバスの輸送方法を知っている人はほとんどいないので仕方ないですね。決して良いことではありませんが、巨大なコントラバスのハードケースに目をつけたのは良く考えられた上手い方法だったと言えるのでしょう。
以上、カルロス・ゴーン事件のまとめでした。