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すでに上映がはじまった映画「アイネクライネナハトムジーク」、同名小説を映画化した話題作です。
街頭アンケート中にたまたま出会い、10年後にプロポーズ。そんな佐藤(三浦春馬)と紗季(多部未華子)の関係を中心に、彼らの周囲の人々の個性的な恋愛エピソードが不思議に連鎖していく様子を描く、ほんわかした恋愛映画。
街頭アンケート中にたまたま出会い、10年後にプロポーズ。そんな佐藤(三浦春馬)と紗季(多部未華子)の関係を中心に、彼らの周囲の人々の個性的な恋愛エピソードが不思議に連鎖していく様子を描く、ほんわかした恋愛映画。
今日は映画「アイネクライネナハトムジーク」についてクラシック音楽の側面から解説していきます。
映画「アイネクライネナハトムジーク」のタイトルってあの名曲のこと?
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この映画の題名は、神童と呼ばれる有名なモーツァルトが作曲した「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」(通称:アイネク)を真っ先に想起させます。
しかし原作小説においても映画においてもモーツァルトのアイネクに直接触れられる場面はありません。
この映画の主題歌はもちろんモーツァルトではなく、 斉藤和義さんの「小さな夜」。
アイネ・クライネ・ナハトムジークはドイツ語ですが直訳すると 「小さな、夜の、音楽」です。 斉藤さんがお作りになった主題歌をドイツ語にすればアイネクになるわけです。
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
こちらの動画がモーツァルトの作曲したアイネク。モーツァルトの時代の楽器(古楽器)を使った名演奏。お聴きになると「あぁこれか~」と誰しも思う有名な曲です。
モーツァルト自身がアイネクの題名を付けました。どんな思いをこのタイトルに込めたのでしょうか。
ナハトムジーク
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元々、当時の貴族などに贈られる音楽のプレゼントのことを指して 「ナハトムジーク」という言葉があったようです。主には夜の静かな野外パーティでさりげなく意中の人や日頃世話になっている人に贈られる、そんな音楽でした。
モーツァルトはその「ナハトムジーク」に「小さな」(アイネ・クライネ)という言葉を添えてこの曲のタイトルにしたのです。
恐らく作曲に際して、この曲の贈り主である誰かが想定されていたと思われるのですが、それが誰であるかは分かりません。女性であったのか、男性であったのか、どのような立場の人であったのか…。
いずれにしても、アイネクはコンサートホールで正装して聴くような音楽ではなく、野外のパーティーで器が“カチャカチャ”と触れ合う音がする中で演奏される、リラックスした音楽だったのです。
上に紹介した古楽の専門家コープマン指揮による演奏は、そういう雰囲気を見事に出しています。
「アイネク」と「出会い」
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アイネクライネナハトムジークの原作小説の中で「出会い」についてのこのようなセリフがあります。
「その時は何だか分からなくて、ただの風かなあ、と思ったんだけど、後になって、分かるもの。思えば、あれがそもそもの出会いだったんだなあ、って。これが出会いだ、ってその瞬間に感じるんじゃなくて、後でね、思い返して、分かるもの」
「小さく聞こえてくる、夜の音楽みたいに?」
この言葉の中にタイトルの意味が込められているのだろうと思います。
あたかもパーティーのバックミュージックのようにさりげなく流れていく音楽の中に、しかし作曲者の想いがあって、それを押しつけがましくなくあたかも爽やかに吹き抜ける風のようにして届ける。さりげなく届けられたものだけど、でも不思議と残っていくもの。
「そういえば…」、後から思い起こされる音や匂いや手触りのようなそんな音楽に、人と人との出会いの本質を準え、物語のタイトルにアイネクを持ってきたのが原作者の意図だと思います。
ステキですね。
まとめ
物語の前面に出てくることが無いモーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジークですが、小説・映画のストーリーを支える隠されたキーワードとして位置づけられているように思います。
ぜひそんなことを思いながら、映画をお楽しみください。
原作小説
読みやすい原作を基にしたマンガ版