バスオさんの部屋

ヴァイオリンやコントラバスなど弦楽器のことを中心に、子どもさんのお稽古や楽器管理のアドバイス。アマチュア・初心者の方のおススメ楽器など。

弦楽器の管理 弦楽器あれこれ

バイオリン(弦楽器)購入時の楽器調整 早わかり簡単ガイド

投稿日:2019-09-04 更新日:

ブログの中で繰り返し ‟楽器購入に際しては必ず専門店で調整してください”と書いています。楽器店で直接買って「調整済み」と書いてあればその必要は無いのですが、ネットなどで取り寄せた場合、楽器調整は必須です。

今日は具体的に楽器の調整とは何をすればよいのか。いくらくらいの費用が掛かるのかをお話します。

よく購入した楽器を調整に出さずにそのまま使って不具合があることを「不良品」とおっしゃる方がいますが、「調整済み」と書いていない限りは購入してまずは調整に出すことが前提になっています。

この記事を読むと、楽器購入後に楽器を演奏できる状態にするために必要な調整作業のことがすべてわかります。

バイオリン(弦楽器)購入時の楽器調整 早わかり簡単ガイド

基本的に弦楽器の専門店に持っていき「楽器購入したので調整をお願いします」と言えば、必要に応じてちゃんとやってくださるものですし、新品楽器の調整にビックリするような費用は通常かかりません。

楽器購入時に必要な楽器調整は主に以下の3点です。

駒の調整

駒によって弦高(げんこう)、弦と指板の高さが決まります。弦高が高すぎると弦を押さえるのに負担がかかり腕を痛める原因になったり、練習の成果を十分に得られなくなったりします。

逆に弦高が低いと弦が指板に当たってノイズが出たり、駒のアーチが平らだと一つの弦を弾こうとした時に他の弦にも触れてしまうなどの問題が起こります。

また駒の位置によって音色・楽器の鳴りも変わってきます。楽器を購入した時には必ず駒調整をしてください。

ヴァイオリンの弦高の基準は以下のとおり

E線:3.5mm~4mm弱

A線:4mm強

D線:5mm弱

G線:5.5mm

(園田信博著:最上の音を引き出す弦楽器マイスターのメンテナンスより)

最上の音を引き出す弦楽器マイスターのメンテナンス: ヴァイオリン ヴィオラ チェロ コントラバス

お手持ちの楽器の弦高をはかって基準値との開きが大きければ、駒調整するとグンと弾きやすくなります。

魂柱の調整

魂柱(こんちゅう)は弦楽器の内部に立っている棒のようなものです。この柱が表板と裏板を繋ぎ合せ、楽器全体を響かせる重要な役割を担っており、名前の通り弦楽器の心臓部と言ってよいほどに重要な場所です。

魂柱が正しい位置に立っていることで、弦楽器本来の響きが生まれます。また魂柱の立つ位置、また材質によって音色に変化が生じます。

魂柱の立つ加減が悪く、表板を圧迫しているような場合は楽器の破損の原因にもなります。
詳しく知りたい方⇒魂柱(こんちゅう)ってなに?早わかり簡単ガイド

楽器屋さんで「魂柱の調整をお願いします」と言えばOKです。

ペグ(糸巻き) の調整

新品の楽器を買うと、チューニングの際に調整するペグが固くて上手く回せなかったり、逆に緩くてしっかり止まらなかったりすることがあります。

チューニングが定まらなければ練習になりません。ペグの按配を最初に楽器屋さんにみてもらうと安心です。

楽器屋さんに「ペグの固さ大丈夫ですか?」と聞いてみてください。

長くヴァイオリンを使っているうちにペグや穴が削れて緩くなったり、逆に湿気でペグが膨張して固くなったりということもあります。あまり調子が悪ければ、その都度調整をしてもらうと安心です。

繰り返しになりますが、チューニングがずれていていくら練習しても成果はあがりません。ペグは常に万全の状態にしておきましょう。

弓の調整(毛替え)についてはこちらの記事↓

調整に掛かる費用は?

それぞれのお店で違いがありますが、はじめての方でも安心して行ける大手のお店、店舗数の多いクロサワバイオリンさんの修理価格表にこのように記載されています。お手ごろ価格です。個人の工房に行くと、もう少し高い値段を請求されることが多いように思います。

弦高調整 2,000円

魂柱調整 応相談(魂柱立直し 500円)

ペグ調整 1本500円

まとめ

楽器の購入だけでなく、楽器の調整が必要になる弦楽器。お金も労力もとられるので煩わしいと思うかもしれませんが、これが弦楽器の魅力の一つとも言えます。

弦楽器を続けていると楽器屋さんとの付き合いは切っても切れないもの。段々顔見知りになり、上記のような情報を細かく教えてもらったり、音の好みや楽器に合わせた調整で同じヴァイオリンでも音色が変わったり。

男の子が大好きな機械いじりのようなロマンを感じるところでもあります。職人さんは無愛想でとっつき難いところもあるかもしれませんが、自分が付き合いやすい職人さんを探すのもまた楽しみの一つです。

弦楽器に関する本はたくさん出版されていますが、2017年に出版されたこれは決定版。超有名な職人の園田さんがご自身の経験・知識を「えっ、いいの?」と心配になるほどに出し惜しまずにすべて本にまとめておられます。この本一冊あればヴァイオリンの管理は安心。読み物としてもとっても面白いです。

バイオリン 初心者・中級者の楽器の買い方 早わかりガイド おススメ楽器も

大人のバイオリンの始め方 よくわかる簡単手順・準備・費用

-弦楽器の管理, 弦楽器あれこれ

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

POPS’コントラバス松脂を新鮮に保つお勧めアイテム

コントラバスの松脂。色々な種類がありますが人気が集中するのは3・4つですね。その内の一つPOPS'(ポップス)。赤いケースが印象的なファンの多いバス松脂です。 今回は管理の難しいPOPS’ …

吹部コントラバスの指板が外れてしまった時の直し方(裏ワザ編)

中学・高校の吹奏楽部にあるコントラバスは30~40年前のSUZUKIの楽器が多いです。まだ学校に子どもたちが溢れていた時代ですから吹奏楽部も大編成で、コントラバスが3・4人いることも珍しくなかったので …

コントラバスのペグ交換が分かる 一体型から独立型に

全ての弦楽器に付いているペグ(糸巻き)、チューニングをしてから演奏する弦楽器にとってペグが正常に機能することは必須。正しく演奏してもチューニングが合っていなければ台無しです。 また練習効率にも大きく影 …

吹部コントラバスの駒が反ってしまった時の裏ワザ(裏ワザ編)

吹奏楽部のコントラバス指導に行くと、無残にも駒が曲がってしまった楽器に出会います。多少の反りであればコマめに正しい方向に引っ張ることで段々直っていきます。 しかしパッと見て歪みが分かるくらいまで反って …

あまり知らないコントラバスのルーツ

コントラバスを言葉で紹介する際に「バイオリンが大きくなった楽器」と説明すると大抵の人はピンとくるようです。 バイオリン⇒ヴィオラ⇒チェロ⇒コントラバスと段々バイオリンが大きくなっていくイメージを多くの …