弦楽器の値段について色々書いてきましたが、
⇒ヴァイオリンの値段はどうやって決まる?
今日は【コントラバスV.S.バイオリン】
サイズが圧倒的に違うこの2つの楽器、どちらの値段が高いのか?またその理由はなんでしょうか??
コントラバスの方が高価?
写真の通りサイズの違いは圧倒的。2メートル近い全長を誇るコントラバスと50センチにも満たないヴァイオリンであれば、やはり価格差は歴然。コントラバスが高いだろうとお考えになる方、正解です。
分かりやすく、日本が世界に誇るSUZUKIで比較してみますと、最安モデルのNo.210がケースや弓などセットで税抜き63,000円、一方コントラバスは最安の場合No.30が楽器のみ税抜きで300,000円。価格差は圧倒的です。(しかもコントラバスの方は合板です)
やはり木材をはじめとして、全てのパーツが特大であり、当然製作日数がかかり人件費もかさむコントラバスがヴァイオリンより高価なのは当然のこと。
ちなみに、修理に関してもやはりコントラバスの方が費用がかかります。「割れ」と言ってもそのスケールが違うのでやむを得ないですね。
バイオリンの方が高価?
上記の通り、サイズの違いから圧倒的にコントラバスが高価、と思いきや答えは単純ではありません。先ほどの比較はエントリーモデルでしたが、音大生やプロが使う楽器になると状況は一転します。
もっとも高価なバイオリン
皆さんもご存知、バイオリンの名器と言えばストラディヴァリウス。数億で取引されると言う話しをお聞きになったことがあると思います。
ストラディヴァリの現存するヴァイオリンは世界におよそ600本と言われますが、状態や制作年代などによってそれぞれに値段が違います。数あるストラディヴァリウスのなかで最も高価な楽器はおよそ13億円で取り引きされた実績があります。
しかし世界最高額のヴァイオリンは実はストラディヴァリウスではなくグァルネリのものです。およそ16億で取り引きされた実績があるそうです。
グァルネリにそれ程の高値がついたのは、現存するグァルネリのヴァイオリンがおよそ100挺と圧倒的に少ないからです。ストラディヴァリウス以上に入手するのは狭き門なのです。
ストラディヴァリの製作した楽器はヴァイオリンだけでなく、ヴィオラやチェロも残っています。ヴィオラは僅か6挺ですからお金に換算できないような価値があります。
もっとも高価なコントラバス
ストラディヴァリは残念ながらコントラバスを作っていないようです。現存するコントラバスで著名な製作者の名前を冠しているのはグァダニーニ製作のもの。またストラディバリの1世紀前に活躍したガスパロ・ダ・サロのコントラバスも名器として知られますが、本数があまりにも少なく値段については不明。ほとんど流通することは無いと思われます。
実際に売買されるコントラバスの最高値として情報が確認できるのは大体3000万くらいです。ヴァイオリンなど最高値に比べるとかなり下がります。
音大生やプロの楽器
ヴァイオリンですと音大生を含めて専門家が使う楽器の下限が大体300万円代で上は際限ありません。一方、コントラバスで300万の楽器と言ったら相当の名器。専門家が使っていくのに十分なものを購入することができます。
このように考えるとやはり高価な楽器はヴァイオリンということですね。
なぜコントラバスは他の楽器に比べて安い
入門者向けのコントラバスがボディの大きさゆえにヴァイオリンより遥かに高値であるのに、専門家レベルの楽器になると途端に価値はヴァイオリンに逆転され、世界最高レベルの楽器になるとゼロが一つ違ってきます。なぜでしょうか。
やはりコントラバスは楽器が大きい分、ぶつけるなどの破損のリスクが高いこと。そして弦が非常に太いため楽器にかかる負担が大きく、ヴァイオリンほどに良い状態で古い楽器が残っていません。
破損や事故、また戦災による消失など、ヴァイオリンサイズなら防げるけれど体の大きなコントラバスでは避けられないことも様々に起こります。
まとめ
新品は圧倒的に高値のコントラバスがプロ用になると途端にヴァイオリンに比べてずっとお安くなるというわけです。
専門的に学んでいくことを考えるとやはりトータルではヴァイオリンの方がずっとお金がかかります。
消耗品である弦の値段はコントラバスがヴァイオリンの倍近くしますが、コントラバスの弦は太い分耐久性がありますので、諸々考えてもやはりトータルではコントラバスの方がコストはかからないです。