子どもさんの習いごとを考える中で、ヴァイオリンを検討される方は多くいらっしゃいます。
しばしば耳にする疑問は以下の二つ。
- 「ヴァイオリンって随分早い年齢で始めなければいけない」と聞くけど、実際のところ何歳くらいで始めたらよいの?
- すでにその年齢を過ぎてしまっているけれど、家の子はもう間に合わないの?
この記事を読むと、バイオリンを始めるのに適した年齢。そしてその年齢を過ぎてしまった場合はもう可能性が無いのか、この二つの質問の答えが分かります。
ヴァイオリンをはじめる年齢
専門を目指してヴァイオリンをはじめる場合、一般的に3~4歳とか、遅くとも5歳までにとか言われます。デッドラインが7歳という言い方も時々耳にします。とにかく「小さい時に始めなければいけない楽器」というのはばくぜんと知られていることです。
でも案外、それがなぜなのか論理的に説明されていることは少ないかもしれません。「何を根拠に」と言われると明確な答えはググってみても中々見当たりません。
一番はっきりした答えは、多くのヴァイオリニストが事実そのくらいの年齢で始めている、ということでしょうか。またチェロやコントラバスのように「高校生で始めました」というプロの方がいないことも根拠になるかと思います。
ヴァイオリンの奏法の精密さは驚くほど。ミリ単位どころではありません。ハイポジションは0.1~0.2ミリの世界。それをピタッと当てたり、あえて高めにとったり。0.01ミリの世界です。
これは大人が練習して身につけられるものでは無いですし。あれだけの高い音を精密に聞き分けられるものでもありません。
このようにヴァイオリン特有の細やかな指の動きや、紙一枚よりも繊細な音程を音を聞き分ける能力など、ヴァイオリンの場合子どもの内に習得しなければ身に付かないものが多くあります。
もちろん、3歳でそういうテクニックが求められるわけではなく、ハイポジションは小学校の中学年くらいになるでしょうが、そのあたりで神業的なこれらの感覚を習得することを考えると、3~5歳くらいには始めなければ、という話しになるわけです。これはある程度的を射ていると思います。
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遅くはじめて大成することも
しかし、世の中例外というのは必ずあるもの。
例えば幅広くご活躍の宮本笑里さんは7歳でお始めになったそうですし、東フィルで長くコンサートマスターを務められた荒井英治さんはなんと10歳でお始めになられたそうです。
私の身近にも小学5年生で始めてプロオケをバックにコンチェルトをお弾きになられた立派なヴァイオリニストがいます。世の中、そういう方もたくさんいらっしゃるので、なんでも決めつけちゃいけません。
ヴァイオリンの世界は直ぐに「何万以下の楽器はゴミ」とか「〇〇歳で始めるなんてムダ」とか、物事を単純化して考える人がいてそれは残念なことです。
小学生のお子さんが本気で「ヴァイオリンをやりたい」とおっしゃるなら「あなたの年齢では遅い」などと言わずぜひ挑戦させてあげてください。
もちろん、専門家の道を目指さないのであれば年齢など一切関係ありません。退職後でも十分楽しめる楽器です。
まとめ
プロフェッショナルなヴァイオリニストに求められるスキルはほとんど神業的なもの。他の楽器が簡単ということではありませんが、幼い時期に体にしみ込ませなければ習得できないような性質ものです。
ですからやはり3~5歳くらいの間に始めた方が良いというのは確かです。けれども、それを過ぎてしまったからもうダメ、というのは極端な考え方です。
3歳で始めた場合本人の意思はほとんどゼロですが、7歳なら本人の意思が明確です。小学生が自分の強い意思で「どうしてもヴァイオリンをやりたい」と言うなら、それは多少スタートが遅れたハンディを補う武器になります。自分の中から出てくる強い欲求は“やらされている”子どもには無い上達の原動力です。
立派なヴァイオリニストになられる可能性を誰も否定することはできません。