「なかなか子どもが練習に打ち込むようにならない」という悩みは、楽器を習わせている親御さんに共通するものです。毎日の練習の時間がバトルになってしまう、よくある話しです。
難関大学に合格した人の多くが子ども時代「勉強しなさい」と親から言われたことが無い、という話しを良く聞きますが実は楽器の習得もまったく同じです。
どうしたら家の子、もっと練習するようになるの?という悩み抱える皆さんに、バイオリンやピアノなど楽器の練習に子どもが向き合っていくようになる5つの方法を今日は分かりやすく紹介します。
この記事を読むと、子どもが楽器に興味を持ち自分で練習に取り組んでいくようになる関わり方が良く分かります。
この記事から、親子で音楽を楽しむ関係性を築いていくヒントを得ていただけたら嬉しいです。
楽器を練習する子どもに育てる5つの方法
祖父の経験
突然ですが、私の祖父は勉強が大好きで、どうしても進学したいと願ったのですが家庭の事情で夢が叶わなかった人でした。
仕方なく就職し、しかし一生懸命働きながらたくさんの本を読み、退職後は市民大学のような講座に通い、生涯学び続けていました。
「学びたいけれど学べない」という欠乏感が、祖父に生涯を通して学ぼうとする意欲を生じさせたのでしょう。
一方、現代はどうかというと「本に興味がある」と子どもが一言つぶやくと、もう翌日には様々なジャンルの本が用意され「好きな本をどうぞ」となってしまいます。
山積みにされた本を見て、あっという間に子どもの本に対する好奇心はしぼんでしまうのです。
楽器の練習も同じ。親にやらされて練習熱心になる子はいません。一方でヴァイオリンやピアノのような楽器で専門を目指すのであれば、低年齢でかなりの練習量が求められることも事実です。
いかにやらされているという感覚を与えずに子どもが楽器練習に向き合えるよう導いていくか、親の腕の見せどころです。
「練習しなさい」はNGワード
大切なことはいかに子どもの音楽に対する思いや好奇心を育てるか。やはり練習嫌いなお子さんへの「練習しなさい」はNGワードです。
親に練習を強制させられていると感じると、練習することが親の関心や願望ゆえであるという感覚を子どもに与えます。親のために毎日辛い練習を頑張ることを子どもが嫌がるのは当然。
先ほどの祖父のエピソードのように「どうしても学びたい」という強い欲求をいかに育てられるかがポイントです。子どもが自分の欲求のもとに自分のために練習できる環境を整えてあげることを考えていきましょう。
自分から練習する子になる5つのポイント
1、上質の演奏をたくさん聴かせる
ぜひプロの上質な演奏を生で聞かせてあげてください。自分が学んでいる楽器がどんなに素晴らしいものであるかを知るには、一流のプレーヤーの生の演奏を聴かせるのが一番。
自分が毎日練習している楽器が、やがてこんな素敵なステージで奏でられる音楽になるのだと、現在と将来をイメージとして繋ぎ合わせてあげることは、子どもが練習したいと思うようになる大事な要素です。
2、良い先生に師事する
「先生のようになりたい」と師事する先生に憧れを持つこと。また同門のお兄さん・お姉さんに対する憧れは子どもの成長の大きな力・モチベーションです。
親がいくら言っても練習しなかったお子さんが、お兄さん・お姉さんのステキな演奏に触れて「自分もこんな風になりたい」と練習を頑張るようになるのは良くあること。
先生に対する憧れと共に、同門のお兄さん・お姉さんに対する憧れが育つような環境を与えてあげられると良いですね。
3、練習の成果を実感させる
頑張って練習した成果が表れることは子どもにとって大きな励みになります。努力したがゆえの成長を見つけてあげることは大切です。
ただそれが真実でないと意味がありません。ですから、親が正しく子どもの演奏を評価できる観察力を持っていることが求められます。お世辞は逆効果です。
4、選択肢を与える
子どもに選択肢を与えることで、嫌なことであっても自分の意志で取り組んでいると感じさせることができます。
例えば練習やる気が出ない顔をしている時に「早く練習しなさい」と言うのでは親からやらされている感100%。
そういう時は「今日は宿題と練習どちらを先にやる?」とか「今日はどこの部屋で練習する?」などと子どもが決定できる場所を与えてあげることで、やらされている感を軽減することができるのです。
5、逃げ場を無くさないこと
「自分には音楽しかない」「楽器を止めることなんか考えられない」と逃げ場を無くしてしまうことは、子どもの自主的な思いを育むにはマイナスです。逃げることが許されなければ子どもは頑張るでしょう。でもそれは、音楽をやりたいから頑張るのではなく、他に行く場所が無いのでやらざるを得ないので頑張っているだけです。息が詰まって練習がドンドン負担になっていくのは必然。
いつでも止められる良い音楽をあえて「続けよう」と思うこと。色々な可能性がある自分があえて音楽を選ぶこと。
音楽はやらされるものではなく、やりたいと願う思いの中に育まれていくものです。
まとめ
以上、自分から練習する子になる5つのポイントをあげました。
子どものやる気が育つ土壌をいかに整えるかがすべてです。少々遠回りしたとしても、やる気が育ってきたら子どもから出てくるパワーは圧倒的。やらされている子とやりたい子の差は一目瞭然です。
急がば回れ、「練習しなさい!」をがまんして「楽器をやりたい」と思う気持ちを育ててあげてください。