「子どもの習い事にヴァイオリンを」と考えながらちゅうちょする方がたくさんいます。一番大きな要因はやはりお金がたくさんかかること。特に体の成長に合わせて買い替えなければいけないヴァイオリン特有の分数楽器の準備。色々な条件の違いによって値段の違いが大きいので実態が分かり辛く、それがますますヴァイオリンの敷居を高くします。
というわけで、我が家が子どものために準備したバイオリンを参考にしながら、お勧めの楽器や購入の具体的なアドバイスをそれぞれの分数ごとにまとめていきます。⇒分数ヴァイオリン購入記録(はじめの一歩)
この記事を読むと、それぞれの分数楽器の特徴に合わせた購入の目安。そしておススメ楽器も知ることができます。
今回は四つ目の分数ヴァイオリン、1/4サイズの紹介です。
分数バイオリン購入記録(1/4サイズ)
楽器の使用時期
1/4サイズはおおむね115~125cmくらいの身長のお子さんが使用する楽器です。日本の7歳の平均身長が113cm、8歳が125cmですから小学2年生~4年生になるくらいの間のおよそ一年間の使用が一般的です。
ここで目が留まるのは、これまで一つのサイズに対して身長の範囲が5cmになっていたのに対し、1/4サイズは身長10cmの範囲の中での使用目安となっていることです。
一つの理由は、この時期の身長の伸びが非常に早いことです。3・4か月で5cm伸びることもある時期なので、少し広めに身長の範囲が設定されています。分数楽器は基本的に一つのサイズを一年くらい使う計算になっています。
1/4は割と長めになりやすい
ただ、当然体の成長には個人差があります。私の子どもは1/4サイズと3/4サイズをかなり長い期間使いました。
一方で、高学年でグングン身長が伸びるお子さんは3/4サイズは数カ月しか使わなかったとか、極端な方ですと3/4サイズを飛び越えてフルサイズにというお子さんも知っています。色々です。
往々にして1/4サイズは割と長く使うことになりやすい楽器であることは頭に置いておいた方がよいです。
このサイズの特徴
楽器に個体差が生じてきます
これまでのサイズでは「無理をして高い楽器を買わなければいけないような個体差は無い」ということを書いてきました。もちろんお金を出せばそれなりの違いはありますが、先々のことを考えれば限りある家計のなかで無理をする必要はありませんし、我が家はそのようにしました。
しかしこのサイズになると段々とグレードによる楽器の個体差がはっきり現れてきます。もちろんフルサイズのバイオリンとはまだ似ても似つかない音ではありますが、それでもお人形のオモチャのように小さかったサイズとは音色や響きが違ってきます。
演奏の場が広がる
そして1/4サイズを使う3年生くらいになると、これまで練習を頑張ってきたお子さんは段々演奏の機会が増えてきて、演奏の場が大きくなりはじめます。
私の子どもがオーディションに合格して始めてオーケストラをバックにコンチェルトを弾いたのも1/4サイズの時でした。
個人で練習する際にはほとんど影響はありませんが、響きのあるホールでの演奏や合奏などでは楽器の良し悪しが気になりはじめます。
とはいえ、教室の発表会の演奏などで神経質になる必要はありません。
例えば、技術的に劣るお子さんが良い楽器を弾くのと、上手なお子さんがグレードの低い楽器を弾くのとで、評価が逆転するようなそういうレベルの話しではありません。
楽器の違いよりも個々人の力量が圧倒的に問題になります。基本的には練習あるのみです。
お勧めの1/4サイズ(節約コース)
Suzuki スズキ violin バイオリン No.310 (1/4 1/8 1/10 1/16) 【smtb-u】【ONLINE STORE】
分数楽器の中では割と長く使うこと、また個体差を考えて節約コースと言いながらの52,800円。SUZUKIの分数バイオリンは老舗の安心感があります。こちらで紹介しているのはクロサワバイオリンさんの特別価格。Amazonや他の楽天ショップよりかなり安いようです。
アメリカの会社ですが製造を中国で行うことで価格を低く抑えています。最近話題の葉加瀬太郎さんのオンラインバイオリン教室でこのEastmanが採用しているので人気が出ています。音も作りもしっかりしています。
こちらの商品は弓・ケース付きのセット販売なので54,780円ですがSUZUKIよりかなりお買い得感あります。こちらもクロサワバイオリンさんの特別価格で他のネット販売よりもかなり安くなっているようです。
そうは言っても・・・
そうは言っても、一年間の使用のために5万強の楽器というのは普通の感覚では高いなぁというのが普通の印象です。堂々お手頃楽器を購入するのもありだと思います。
家の子どもはこのサイズの時には5万円台の楽器を使いましたが、 もっと良い楽器使っているお子さんもいました。
一方で↓のSTENTOR1/4の楽器も妻の生徒さんように所有していますが、ちゃんと鳴ります。調整さえすれば確実にこの楽器で上達できます。部屋で弾いて5万円強の楽器と目覚しい違いがあるような感じではありません。
↑で紹介したようなSUZUKIのバイオリン、オークションで中古を購入したような明らかに疲れて切った状態のものを使っているお子さんも良くいらっしゃいますが、それならちょっとグレードが落ちても新品で元気なものを使わせてあげた方が良いです。
STENTORのコストパフォーマンスは最高。もう一つ上のグレードはこのサイズではグンと値段が上がります。それを買うなら上で紹介したSUZUKIやEastmanを購入されることを勧めます。
(楽器購入時は必ず調整に出しましょう)
安い楽器で大丈夫?
「コンクールにバシバシ挑戦します」とか、「オケバックでコンチェルトを弾きます」とか、そういう機会がこの年齢で次々にあるお子さんですと、やはり最低でも5万円台の楽器が欲しくなります。結局楽器の良し悪しは、良いホールや合奏の中ではっきり現れるものなのです。
でも今は地道に力をつけて、ということで着実コース(一般コース)で進んでいるならば~ほとんどのお子さんはこのコース~、無理しないでください。続けること、続けさせてあげることがなにより大事です。
小学生の時に大事なのは、正しい奏法をしっかり身につけること。そして音楽が大好きになること、この2点に尽きます。
早熟なお子さんが山ほどいる時代、焦ってしまう親の気持ちは痛い程分かります。でも大丈夫です。基礎を正しく身につけ、音楽が大好きになれたら、チャンスは必ず巡ってくるものです。
まとめ
頑張ってきたお子さんはこの辺りの年齢でかなり色々な曲が弾けるようになり、バイオリンの楽しさを実感するようになると共に、バイオリンの厳しさも感じはじめます。
何より問題になるのが他の子どもとの比較です。親も本人も他の子どもとの比較に一喜一憂するようになると、楽器のことも「どんなグレードの楽器を使っている?」と妙な話しになってきます。
音楽を続けていくためには、こういう人との比較に左右されない強さ。「わが家はわが家」「わが子はわが子」という確固とした信念が必要になります。
“生活にゆとりが無いとバイオリンなど習わせられない”という空気を私も幾度も感じました。今も感じます。でもそれは間違いだと思って色々工夫しながら子どもにバイオリンを学ばせてきて、今それは確信になっています。人を気にせず“我が家”のペースを守りましょう。
一方で、サイズアップするたびに楽器の個体差が生じ、どこかでそれなりの楽器を購入する必要が生じるのも事実です。月5,000円の貯金で一年後60,000円が貯まると、次のサイズの時により良い楽器を使わせることができます。計画性も必要になってきますね。